生活を営むために必要なライフラインである“電気”“ガス”“水道”
現在、これらは日本のどこにいても同一料金で得られます(ユニバーサル料金制度)
しかし、度重なる災害や気候変動など、不安定な環境がこれらを根底から覆してしまうかもしれません。
それを受けて今まで“市場”というものがなかったインフラにも新たなマーケットが生まれ始めています。
電力卸売市場はすでに身近なものとなりました。
使いたい時に使いたい分を消費することが当たり前になる、インフラの民主化に向けた動きが加速しています。
日本は世界的に見ても水資源が豊富な国ですが、その日本の水や優れた水道インフラ技術が、海外から注目を集めています。
“水”に水道料金以上の価値が見いだされ始めている──いずれマーケットに展開されていくことの前兆といえるかもしれません。
大都市圏外では限界集落が増えていくでしょう。同時に、都市圏で大量に生産したエネルギーや資源を送り届けるためのインフラの老朽化を止めることが困難となり、エネルギーや資源の地産地消が難しいコミュニティは、それが可能なコミュニティへと統合されていくと考えられます。
地産地消コミュニティは、エネルギーや資源を管理するためのOS的な役割を必要とするようになります。さらに、土地が持つ資源や、運用方針によってそれぞれ特色を持つようになるでしょう。
例えば、水源が豊富なコミュニティでは、水の取引によって富を得られるようになります。エシカルな考えが普及していれば“再生水”のような新しい価値を持つ水が登場し、高く評価されるようになるかもしれません。
都市はコミュニティの集合体となり、電力を含めた自給率が高まります。
外部から調達しなければいけないもの以外はそのコミュニティの中でいかに融通するかが鍵となります。それを管理するのが、デジタルツイン化されたインフラデータを活用する“都市OS 2.0”です。(→Scenario1参照)
都市OS 2.0の出現により、インフラの統合が進みます。
統合されたインフラをどのように運用するかは、適用する都市OS 2.0によって制御できるため、個々の都市はさらに特色を持つようになるでしょう。
人々は、自分の価値観に合った都市OS 2.0がインストールされている都市に住むようになり、都市が人を呼びこむために、都市OS 2.0をアピールするような世界になるかもしれません。
未来の都市OS 2.0は、データ流通、相互運用だけでなく、様々な拡張性を持つコミュニティのコンセプトを体現するものとなります。
インフラオペレーション&メンテナンスのゲーミフィケーション化によるデジタルツインの進化(Scenario1)は、この都市OS 2.0を支え、より高度な都市インフラのパッケージの提供を可能にします。
例えばエコライフを追求するコンセプトを掲げるコミュニティでは、再生可能エネルギー由来のグリーン電力や効率的な熱利用が暮らしを支え、CO₂を排出しない移動がストレスなく提供され、生活に必要な水は再生水がメインとなります。そんなエコライフを実現しながら、コミュニティの人々の体験を豊かなものにするために、都市OSは他のコミュニティと相互に連携し、エネルギーや水、その他あらゆるインフラの余剰や不足を融通しあいます。
人々はコンセプトに共感したコミュニティに集まり、その土地が持つ豊かさはもちろん、都市OSが提供する体験価値により、快適な暮らしを送ることが出来るようになるのです。